馴染みあることば
出合ったばかりのことばが
いまのあなたを日々新たにしている
文学は
もうひとつの現実
私たちが自らの思考や感情を伝達する意思疎通の手段として用いていることばは、一見、どれもおなじみのもののようである、と同時に、本当はよく知らないものでもあります。
文学を形づくっていることばは、日常のことばづかいと地続きでありながら、作品を読み進んでいくと別世界へと導いてくれますね。それが真実かどうかは、文学においては何の意味もありません。なぜなら文学は、もうひとつの現実なのですから。
言葉を使つて人間を動かすことが出来れば、それが文学である。(吉田健一)
私たちを動かす文学のことばのしくみや働きを一緒に探っていきましょう。
VOICES
卒業生の声
S・Mさん
生活協同組合コープ
高校までの現代語訳をする古文ではなく、当時の人の文章をそのまま理解しようとする方法を経験することができました。古典文学を学ぶことは、文学だけでなく当時の文化や社会にも目が向きます。ゼミでは、失敗を恐れず自分の考えを共有することができるようになったと思います。一つの正解を導くのではなく、様々な意見を持ち寄って議論することの楽しさを見出せました。文学に触れることは人生を豊かにしてくれると思っています。私の就職先では大学で学んだことが直接役に立つわけではありませんが、培った想像力を働かせてそれぞれの人の生活に寄り添えるような仕事がしたいと思っています。
S・Kさん
高知県高等学校教員
昨今教育現場では一部で古典不要論が唱えられ、実際、古典の必修範囲が縮小されつつあります。では本当に古典は触れる必要のないものでしょうか。日本文学ゼミで『平家物語』を読んできた私は、そうは思いません。日本文学ゼミでは文学の読み方、成立、特徴といった知識だけではなく、自ら作品世界を読み解き、仲間と議論しながら、その面白さや魅力を学ぶことができます。私はこの春から高校の国語教員として教壇に立ちますが、これはそうして研究に取り組んだ学問そのものが直接活かせる進路の一つです。日本文学ゼミで培った専門的な知識や文学への向き合い方を自信に、文学の魅力を生徒たちにも感じてもらえるよう励んでいきます。