

馴染みあることば
出合ったばかりのことばが
いまのあなたを日々新たにしている

文学は
もうひとつの現実
私たちが自らの思考や感情を伝達する意思疎通の手段として用いていることばは、一見、どれもおなじみのもののようである、と同時に、本当はよく知らないものでもあります。
文学を形づくっていることばは、日常のことばづかいと地続きでありながら、作品を読み進んでいくと別世界へと導いてくれますね。それが真実かどうかは、文学においては何の意味もありません。なぜなら文学は、もうひとつの現実なのですから。
言葉を使つて人間を動かすことが出来れば、それが文学である。(吉田健一)
私たちを動かす文学のことばのしくみや働きを一緒に探っていきましょう。



VOICES
卒業生の声

T・A君
彦根市役所
文学作品を一読しただけでは、内容をよく理解できなかったり、引っ掛かりを覚えたりすることがあります。しかし、何度も読み返して分析をする中で、これまで何とも思わなかった作品を好きになる瞬間があります。それは文学作品を研究することの一つの楽しさだと考えています。市役所の仕事は、よりよいまちづくりを通して、地域の人々の暮らしを守るためにあります。そのためには、地域の問題点を知ることと、良さを発信することが肝要です。町を知り、向上させていく営みにおいて、近現代文学の演習で作品への理解を深めて興味を持った体験が生かせると信じ、業務に励んでいきたいと考えています。
K・Hさん
広島大学大学院
元々読書が好きでしたが、近現代文学ゼミに入って文学研究の奥深さを知りました。単に読者として文学に触れていた今までは「好き」が全てでした。この言葉が沁みる、この登場人物が素敵、といった感情で読み進めていたものを、いざ授業で取り上げて発表となると途端に言葉に詰まります。自分の感想や感覚でものを言ってしまう癖が抜けず、好きな作品ほど論理的に根拠を挙げて語ることは案外難しいものです。しかし、自分が惹かれた作品の魅力を言葉にしてみることで、その作品に対する「好き」をより鮮明に発見できます。私は大学院に進学しますが、この「好き」をもっと形にできるよう、学びを深めていきたいと思います。