愛媛大学法文学部
国語国文学会
愛媛大学法文学部国語国文学会の紹介
本学会は、法文学部日本文学研究室に事務局を置き、年1回の研究発表会・学術講演会の開催、機関誌『愛文』の発行、その他必要と認められる事業を主な活動として運営しています。このホームページでは、本学会の活動や会員の研究成果を広く情報発信してゆきます。
愛媛大学法文学部国語国文学会会則
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「抑意(ココロ)と事(コト)と言(コトバ)とは、みな相稱(アヒカナ)へる物にして」と説く宣長。江戸時代、日本書紀の文と比べて古事記の文の優れている点を論じた文脈だという資料性にも顧慮しなければなるまい。が、「すべて意も事も言も、言を以て傳(フ)るものなれば、書(フミ)はその記せる言辭(コトバ)ぞ主(ムネ)には有ける」(以上、古事記傳一之卷「古記典等總論(イニシヘブミドモノスベテノサダ)」)と説き及ぼすその主旨は、書物のなかでも特に文学作品の言語様態の意味を的確に定義した先蹤の一つと数えてよいのであろう。
インフラの一翼をなす膨大なデータを人工知能で駆動させようとする試みも進んでいるといわれる現代社会において、コトバの役割は今後ますます重要となろう。意思疎通の手段にとどまらず認識を深める媒体として〝天然知能〟を支える言語の占める位置は大きい〔郡司ペギオ幸夫『天然知能』講談社選書メチエ、2019年1月〕。
「今の時代に、具体性・身体性の積み上げである芸術=小説を書き、読むこともまた、「抽象化と数値化」に抗する一つの実践となるのではないだろうか?」〔磯﨑憲一郎「文芸時評」朝日新聞2018年12月26日付〕。
「文学の話をするとき、なにが書かれているかばかりが話題になりがちですけれども、人間の心の動きを書き手がどのようにとらえ、どう書いているかも、同じく大事ではないでしょうか。」〔清水眞砂子『あいまいさを引きうけて』かもがわ出版、2018年5月〕。――手許にあるこの一年の読書メモからの引用ばかりになってしまったけれど、いま、古典の現代語訳や外国語の翻訳にまつわる問題をも含めて、文学探究の要諦が、これらに、わかりよく又やさしく述べられているように思われる。(『愛文』第54号「編緝後記」より)